渋谷区唯一の認知症疾患医療センターとしての役割
東京都地域連携型認知症疾患医療センターの指定を受けている医療機関は、各区に1施設のみ。代々木駅前脳神経内科・内科クリニックは渋谷区でその役割を担い、物忘れや認知機能低下の相談を日常的に受け付けている。日本神経学会認定の神経内科専門医が診察にあたり、ご本人の意思表示が明確なうちに受診することを勧めている。診察では過去の生活歴や現在の困りごと、今後の暮らし方についても時間をかけて聞き取りを行う。
認知症の進行を緩やかにする新薬の選択肢が広がりつつある中、早期に受診した患者ほど治療の幅が広いという声が目立つ。介護スタッフや地域の多職種との連携体制が整備されており、家族からの介護相談にも個別に対応している。個人的には、医療と生活支援の両面を一つの窓口でカバーしている点が印象的だった。ご家族が「相談先がわからない」と感じる前に足を運べる場所として機能している。
生活習慣病の管理から予防接種までカバーする内科診療
高血圧、高コレステロール、糖尿病といった生活習慣病の管理を日常診療の軸に据えている。院長は東京女子医科大学附属成人医学センターで人間ドックや全身管理に長年携わってきた経歴を持ち、健診データをもとにした治療計画の組み立てに慣れている。健康診断の結果に不安がある場合には再検査・精密検査を実施し、生活習慣の見直しまで踏み込んだ提案を行う。インフルエンザワクチンをはじめとする各種予防接種にも対応しており、季節ごとの受診ニーズを拾い上げている。
脳血管障がいや心疾患など重大な合併症は、生活習慣病の放置から起こるケースが少なくない。たとえば健診で血圧の数値を指摘されたまま放置していた50代の会社員が、頭痛を機に来院し精密検査を受けたという利用シーンは珍しくないという。日々の小さな体調変化も診察の対象とし、必要があれば専門的な検査ルートへつなぐ流れが整っている。定期的なチェックを習慣化することで、病気の芽を早い段階で摘む方針だ。
CT・胃内視鏡を備えた院内検査体制
頭痛、めまい、しびれ、歩行の不安定さ——こうした症状の原因を突き止めるため、院内にCT検査機器と胃内視鏡検査設備を導入している。クリニック規模でこれらを揃えている施設は多くなく、大病院への紹介を待たずに初回の画像診断まで進められる点は通院の負担軽減に直結する。より高度な医療が必要と判断した場合には連携病院への紹介もスムーズに行われ、検査から治療への移行に空白期間が生まれにくい構造になっている。
代々木駅西口から徒歩約1分というアクセスの良さもあり、仕事帰りに立ち寄る患者が一定数いるようだ。待合室には認知症の方が制作した切り絵アートや作家の作品が飾られており、落ち着いた色調の内装と相まって待ち時間の圧迫感を和らげている。複数路線が利用できる立地のため、渋谷区外から通う患者も少なくないと聞く。
閉院した医療機関の診療を引き継いだ開業の経緯
東京女子医科大学附属成人医学センターが閉院した際、通院中の患者から「診てもらえる場所がなくなる」という要望が多く寄せられたことが開業のきっかけとなった。健診と外来診療の蓄積をそのまま地域に残す形でクリニックを立ち上げ、患者ごとのこれまでの経過を途切れさせない診療を続けている。病状の説明はわかりやすさを重視し、患者自身が治療内容を理解したうえで次のステップに進む流れを徹底している。
市民講座や勉強会を通じた認知症の啓発活動にも取り組んでおり、「講座を聞いて早めに受診する気になった」という参加者の声が聞かれる。認知症の方が制約なくその人らしい暮らしを続けられる共生社会の実現を、代々木駅前脳神経内科・内科クリニックは診療の延長線上に据えている。医療と介護の両面から地域を支えるという方針は、日常の中でふらっと相談できるクリニック像と重なっている。


