放置農地に眠っていた植物が、健康食品になるまで
奄美大島では高齢化や人口減少の影響で耕作放棄地が年々増えている。そうした荒れ地に自生していたセンダン草に着目し、株式会社AMAMI GREEN LABELは健康食品事業を立ち上げた。センダン草はポリフェノールや食物繊維、ミネラル、亜鉛などを含み、古くから島の暮らしのなかで親しまれてきた植物だ。かつては雑草として刈り捨てられていた草が、いまスーパーフードとして再評価されつつある。
個人的には、「雑草が商品になる」という発想の転換そのものが印象的だった。放置された土地からセンダン草を無償で刈り取ることで景観が回復し、同時に製品原料が確保されるという仕組みは、コストと環境負荷の両面で理にかなっている。刈り取り・乾燥・粉末化の工程を島内で完結させており、地元農家や研究者との連携のなかで成分分析や品質管理の手法が磨かれてきた。加工から販売まで奄美の中で循環する事業構造を築いている。
障がい者就労と島の経済をつなぐ収穫の現場
センダン草の収穫作業は、障がい者就労支援B型事業所と協力して進められている。手作業が中心のため、一人ひとりのペースに合わせた働き方が成り立ちやすい。作業を通じてスキルが身につき、自信を得ていく過程が安定した雇用の継続につながっている。株式会社AMAMI GREEN LABELにとって、この連携は製品の安定供給と社会参加の機会創出を同時に支える柱だ。
高齢化で働き手が減る奄美において、センダン草を新たな特産品に育てることは経済面のインパクトも小さくない。荒廃地の再生、雇用の確保、商品の製造・販売という流れが一本の線でつながり、島全体の活性化に波及している。収穫に参加するスタッフの中には「自分の作業が製品になって届くのが嬉しい」という声もあるそうで、現場のモチベーションが品質の安定にも反映されている。
100%奄美産・完全無添加のセンダン草パウダー
製品は無農薬栽培のセンダン草だけを原料とし、添加物を一切含まない。粉末状に加工されているため、一日約2gを目安にお湯で溶かしてハーブティーにしたり、お米に混ぜてもっちりした緑がかったご飯にしたりと、日常の食事に組み込みやすい。スムージーやスープ、菓子づくりにも使え、クセの少ないすっきりした風味が幅広い用途を支えている。栄養バランスの偏りや腸内環境、肌のコンディションが気になる人に向けた健康補助食品として展開中だ。
利用者の声を見ると「味にクセがなく牛乳やヨーグルトに混ぜて飲んでいる」「自然食品で免疫力をつけたくて試してみた。身体がどう変わるか楽しみ」といったコメントが寄せられている。インスタグラムで商品を知り購入に至ったという声も目立つ。SNS経由の認知拡大が、島外からの注文増加を後押ししている状況だ。
月1回の収穫体験が生む、島のあたらしい交差点
毎月開催されるセンダン草の収穫体験には、地元住民だけでなく観光客も足を運ぶ。収穫後には試食会が行われ、地元レストランとのコラボメニューが提供される回もある。参加者同士が顔を合わせるうちに交流が生まれ、直売所での購買にもつながっているという。代表は「安定した収入を得るよりも、この土地の人たちの笑顔が見たい」と語り、補助金の取得や観光向け企画の立案など多方面に動いている。
イベントを通じて、製品の背景にある荒地再生や就労支援のストーリーを知る参加者が増えている。「ふるさとを元気にしたい」という想いが出発点にあり、商品販売の経済効果だけにとどまらない広がりを見せている。体験をきっかけにリピーターとなる観光客もいるようで、島の外と内をゆるやかにつなぐ接点として機能し始めている。


